非上場株式の評価ポイント
取引相場のない株式(自社株式、非上場株式)の評価ポイントついて解説します。
【目次】
業種の判定
取引相場のない株式を類似業種比準方式で評価する場合には、その評価対象会社の事業が該当する類似業種を判定して比準要素等を適用し計算します。
類似業種の判定は、評価会社の事業が、上場会社の事業内容を基として定められている業種目のどれに該当するかによって判定します。
業種の選択によって株価(相続税額)が大きく変わりますので、慎重に判定する必要があります。判定に迷われる場合には、総務省公表の「日本標準産業分類」を参考に、国税庁公表の「(別表)日本標準産業分類の分類項目と類似業種比準価額計算上の業種目との対比表」に当てはめて検討します。
会社が保有する土地の評価
会社が保有する土地についても、個人が不動産を相続するのと同様、減価要因を見つけて評価額を下げることがポイントになります。詳細は土地評価のポイントページをご確認ください。
類似業種比準価額算定時の非経常的利益の控除
取引相場のない株式を類似業種比準方式で評価する場合、一株当たりの利益の算定上、評価会社の非経常的利益を控除することになります。これは会社の経常的な収益力を見積もる際に、臨時偶発的な利益の影響を除外するためです。
非経常的利益に該当するか判断を迷うことがあります。単に損益計算書上、特別利益に含まれているものだけではなく、営業外損益に含まれている項目でも、通常の営業活動から生じえない(例年生じていない)臨時偶発的な収益がないかを検討する必要があります。これらを多く把握することで、類似業種比準価額を下げることが可能となります。
死亡後にできる節税対策としての、役員死亡退職金の支給
取引相場のない株式を評価する際、相続開始後にできる相続税の節税策として、役員死亡退職金の支給があります。役員死亡退職金の支給により、以下2点のメリットが生まれます。
1.株価下落
2.退職手当金の非課税枠の活用(相続人の人数×500万円)
ただし、無制限に退職金を払うことができるわけではありません。法人税法上の損金算入限度や役員退職金規定を考慮しながら支給額を検討する必要があります。
相続した非上場株式を3年以内に会社に買い取ってもらうと所得税が安くなる特例
相続又は遺贈により取得した取引相場のない株式を発行会社に買い取ってもらう場合、通常であれば「みなし配当」に係る部分は総合課税(最高税率55%)になるところ、株式に係る譲渡所得として分離課税(税率:20%)とすることができます。
また、いわゆる「相続税の取得費加算」の特例も適用できるため、株式の取得の際にかかった相続税の一部を譲渡所得税計算の際の取得費に算入することが可能となります。
非上場株式を相続される方へ
役員死亡退職金、3年以内の株式の買取など、相続発生後にできる節税対策もご提案させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。